第二弾 災害廃棄物から金属資源の再生活用を

はじめに

エコマテリアル・フォーラムは1993年の開設以来、「環境負荷を低減する材料技術」の一環としてリサイクル・資源問題に取り組んできました。

その経験を踏まえつつ、今回の東北大震災の災害廃棄物の中からも有用な資源をリサイクルし災害廃棄物処理を少しでも軽減させるために、次のような提言を行います。

ここで提案する有価金属リサイクルのための「選別所」の実現とその運営には、これからも多くの知恵と努力の結集が必要と思われますが、先に提案した「廃ブラウン管テレビの鉛ガラスカレットの放射線遮蔽への利用」同様、さまざまな方たちと協力して問題解決に役立たせていきたいと思っております。

提言

「東日本大震災により生じた廃棄物の処理の特例に関する法案」が閣議決定され、瓦礫など廃棄物処理については法制度的に大きな一歩が踏み出されたといえる。この被災廃棄物処理においてリサイクルを有効に組み入れてゆき将来の産業活性を見据えた取り組みにするべきである。

東北大震災大津波で発生した大量の瓦礫等罹災物には多くの有価金属が含まれており、家電情報機器中の非鉄金属・レアメタルだけでも10億円分が罹災廃棄されていると予想される。

これらを有効に取り出すことは、① 有用な資源の有効活用、② 廃棄物処理量の減量に貢献、③ 重金属など有害になる物質の処理、のメリットを持っている。

現状では、一次集積現場からリサイクル受け入れ側への流れが明確に形成されておらず、個別的に少量の処理に終始したり、鉄スクラップ中の雑品として混在して取り扱われてしまうなどのケースが多く、資源の価値を効果的に引出し地元の活力源に還元するには至っていない。むしろ中間処理における汚泥や介雑物の処理等の負担が地元リサイクル業にのしかかることが懸念される。

そこで、罹災物からの有価金属のリサイクルのための広域中間処理センターとして「選別所」(仮称)を置くことを提案する。

そこには、地場を中心とした解体・分別業者と我が国の先端的な分離・選別技術を終結した共同プラットフォーム型の広域センターとして、一次集積所から有価金属を含むリサイクル物を受け入れ、解体・分離を行うことにより引き続く有価金属抽出へと流れを作るものであり、同時に広域センターの特徴を生かすことで発生廃棄物処理の効率化も図るものである。

この広域中間処理センターは、将来の物質循環拠点としてのリサイクル、金属再生業の活力ある再興への流れの形成にも資するものであると期待できる。

添付資料