一般社団法人 日本経済団体連合会のSDGs達成およびポストSDGsに向けて の取り組みについて
岡部理事からの情報です。
一般社団法人 日本経済団体連合会のSDGs達成およびポストSDGsに向けての取り組みについて
- はじめに
経団連では「Society 5.0 for SDGs」を柱に企業行動憲章を改定して以降、会 員企業によるSDGsの取組の理解・実践を促進している • SDGs達成目標年まで残り5年となる中、2024年には「国連未来サミット」が開催 され、SDGsの進捗が停滞しており、SDGs達成に向けた取組を加速するとともに、 2027年9月より、ポストSDGsの目標・枠組みに向けた議論を開始することが公表 された
• 一方、米国第2次トランプ政権において、反ESG・反DEIの動きが顕在化し、欧州 においても、サステナビリティ開示・ESG関連政策の見直しが議論されるなど、 SDGs/サステナビリティ関連政策の後退がグローバルに生じている
• 日本政府は、本年7月に国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)にて「自発的国 家レビュー(VNR)」を公表し、日本の進捗と課題を世界と共有するとともに、引き 続きSDGsの実現に向けて取り組む意思を表明する予定である (経団連もVNRの「各ステークホルダーの取組と評価」の章で、経済界の代表とし て一部を執筆)
• 2030年のSDGs達成が厳しい状況にある中、改めて、日本の経済界のこれまでの 取組や成果を振り返るとともに、SDGsの達成およびポストSDGsに向けて、経済界 としてさらに貢献すべく、基本的考え方、今後注目すべきテーマや課題、取組方針 を確認する。
(参考)
① 世界のSDGs達成状況
国連「持続可能な開発目標(SDGs)報告2024」において、SDGsターゲットのうち達成に 向けた軌道に乗っているのはわずか17%であり、半数近くは最低限かわずかに進捗、約1/3は 停滞または後退している状況が提示された(進捗に深刻な影響を与えている要因として、パ ンデミック、紛争、気候変動等が挙げられている)
② 日本のSDGs達成状況
「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」が世界各国のSDGsの達成度を評 価し、公表する「Sustainable Development Report」によると、2024年のランキング1位 は4年連続でフィンランドで、日本は昨年の21位から18位に上昇した(24位のオランダまでは、 日本を除き欧州の国々が占める)
③ ポス2024年9月の国連サミットにおいて、 2027年9月よりポストSDGsの目標・枠組みに向けた 議論を開始することが決定トSDGsに向けた国内外の議論動向
④ 欧米のESG・DEI動向
米国は、2025年1月に発足した第2次トランプ政権は、急速な反ESG・反DEI政策を展開 • 新たに設置された政府効率化省(DOGE)が、対外援助機関のアメリカ国際開発庁 (USAID)の事業打ち切りや職員削減を推進 • 一方、トランプ政権の政策に異議を唱える訴訟が相次ぐ(2025年3月時点で100件以上) • また、気候変動対策継続の意思を示す「AMERICA IS ALL IN」には、5,000以上の主体 (州・自治体・企業・団体等で構成、うち約3,000は企業)が参加(2025年5月時点) •
近年、EUは「欧州グリーンディール」の下、気候変動や生物多様性、人権などのグローバルな サステナビリティ課題に対し、政策主導でサステナビリティ経営を推進 • 一方、世界情勢や欧州を取り巻く環境の変化を背景に、企業価値向上・競争力強化の観 点から規制の簡素化を図る方針に転換
- SDGs達成に向けた経団連の取組
近年の主な取組
経団連は、2017年に企業行動憲章を改定して以降、会員企業によるSDGsの取組を促進して おり、日本企業は、経営戦略の中にSDGsを組み込み、イノベーションを通じて内外の社会課題 の解決と持続的成長を同時に実現する「Society 5.0 for SDGs」に積極的に取り組んでいる 。
「第3回企業行動憲章に関するアンケート結果」(2024年1月)によると、SDGsについては、 「報告とコミュニケーション」に取り組む企業が80%と、前回調査(2020年)の31%から大きく 増加した。また、「サステナビリティの経営への統合」と回答した企業も39%から77%へと大幅に 増加している(https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/005.html)
また、企業はイベーションによる課題解決に積極的に取り組み、数多くの好事例が生まれている。
- SDGs達成およびポストSDGsに向けた基本的考え方および注目課題
基本的考え方
企業はイノベーションの創出と社会実装を推進し、イノベーションの成果がさらなる投資を呼 ぶ「イノベーション循環」を生み出し、SDGs達成に必要な社会変革に貢献する 企業はサステナビリティを成長機会と捉え、SDGs達成への貢献を通じて、競争力を 強化し、日本の経済成長と国民のWell-beingの向上につなげるとともに、それを目 指した政策の策定に積極的に関与する 投資家、スタートアップ、市民社会、UNDPなどの国連機関、政府・政府機関、次 世代等、マルチステークホルダー対話・連携をさらに推進する 経済成長と社会課題解決が持続的に実現する社会に向けて、課題先進国としての 取組や知見を国際社会に対してモデルとして提示する 2030年以降のポストSDGsの検討に対して、積極的・戦略的に関与・貢献する。
注目課題①:技術・イノベーションの推進・展開
注目課題②:取組進捗の測定と評価の推進
注目課題③:開発に向けたサステナブル・ファイナンスの活用