エコマテリアル・フォーラム設立の呼びかけ

1993年に設立されたエコマテリアル研究会は、従来の材料開発の方向に環境配慮・循環型社会の材料技術という概念を持ち込み、またそのコンセプトに基づく材料技術や材料の環境影響評価技術の発展に尽くす中で、二期10年余の活動が終わろうとしています。このような中で、わが国で生み出されたエコマテリアルは3700余にもおよび、学界だけでなく産業界においてもエコマテリアルは定着しようとしており、これまでのエコマテリアル研究会の環境配慮技術に関する貢献は大きかったといえると思われます。 

しかし、このようなエコマテリアルやエコプロダクトの中で生活しているという実感にはまだ程遠く、将来へ向けた技術開発が持続可能型に転換してきたとの安心感と信頼を満たすにもいたっていません。その一方で、確実に、グローバリゼーション等の新たな動きを伴って人類の経済活動は急速に新たな拡張の時期を迎えようとしており、このままでは20世紀の反省を準備する前にあらたな過ちの再生産さえ危惧される状況です。

それは、これまでの環境配慮等の努力が時代遅れであったり、的外れであったり、筋違いであったりしたということを意味しているわけではありません。ただ、個人や個々の企業や機関が、それぞれの立場から、立ち止まって、反省し、配慮して、努力する段階から、それらを俯瞰的にとらえ、総合的に再構築し、再度私たちを飲み込もうとしている20世紀型の潮流に抗する流れとして明確にしていく段階へと進んできているからだと考えられます。

これまでのエコマテリアル研究会をはじめ、持続可能社会の実現を目指す多くの取り組みは、環境配慮の努力を製品やデザイン、システムの中に取り込む挑戦を支援し、多くの個別の努力の中で実現させてきました。しかし、それらはまだピンポイントでの解決に過ぎません。これから私たちが構築していかねばならないものは、それらの努力を踏まえた上で、俯瞰的な視点から新たな潮流を生み出すことのできる新しい価値観の創出であり、そのための「サステイナブルな、マテリアルの創製とマネージメント」にかかわる「社会技術」とも呼ぶことのできる理論的機軸の構築であると考えられます。

そこで、エコマテリアル研究会が二期10余年の活動を終えたのを区切りに、ここに、次世代エコマテリアル研究会として、「サステイナブルな、マテリアルの創製とマネージメント」を掲げた新たな研究会、「エコマテリアル・フォーラム」として再編成いたします。

エコマテリアル・フォーラムは、 「サステイナブルな、マテリアルの創製とマネージメント」の方向性を追及し、 それを、社会およびそれぞれの主体の施策や研究開発の中に取り込んでいくことを目指します。

エコマテリアルフォーラム 設立発起人(敬称略)

  • 山本良一 東京大学・エコマテリアル研究会会長
  • 土肥義治 理化学研究所・エコマテリアル研究会副会長
  • 原田幸明 (独)物質・材料研究機構・エコマテリアル研究会幹事長
  • 鈴木淳史 横浜国立大学
  • 阿部英喜 理化学研究所
  • 篠原嘉一 東北大学
  • 梅澤修 横浜国立大学
  • 東健司 大阪府立大学
  • 芦野俊宏 東洋大学
  • 東千秋 放送大学
  • 位地正年 NEC
  • 伊藤邦夫 日本大学
  • 井上達 国立医薬品食品衛生研究所
  • 植杉賢司 古河電気工業(株)
  • 宇都宮裕 大阪大学
  • 丑田公規 理化学研究所
  • 植田和弘 京都大学
  • 内田裕久 東海大学
  • 圓藤紀代司 大阪市立大学
  • 奥 彬 京都工芸繊維大学
  • 横山隆壽 (財)電力中央研究所
  • 岡部敏弘 青森県工業総合研究センター
  • 小寺昭彦
  • 小野 修一郎 千葉工業大学
  • 小棹理子 ソニー学園湘北短期大学
  • 大越誠 (独)森林総合研究所
  • 大濱嘉彦 日本大学
  • 垣澤英樹 (独)物質・材料研究機構
  • 加河茂美 東北大学大学院
  • 加納誠 東京理科大学
  • 角田範義 豊橋技術科学大学
  • 川地武 滋賀県立大学
  • 片山裕之 島根大学
  • 木村茂行 (社)未踏科学技術協会
  • 木俣信行 鳥取環境大学
  • 窪田好浩 横浜国立大学
  • 熊井真次 東京工業大学
  • 栗山卓 山形大学
  • 黒田光太郎 名古屋大学
  • 小松正二郎 (独)物質・材料研究機構
  • 小林幹男 産業技術総合研究所
  • 小林久 茨城大学
  • 佐藤彰 (社)科学技術国際交流センター
  • 雀部実 千葉工業大学
  • 澤谷精 拓殖大学
  • 柴田浩司
  • 柴田清 (独)海上技術安全研究所
  • 島田正典 (独)物質材料研究機構
  • 杉 義弘 岐阜大学
  • 鈴木憲太郎 (独)森林総合研究所
  • 瀬沼武秀 (株)新日本製鐵
  • 高橋正昭 三重県科学技術振興センター
  • 竹下宗一 (株)ダイヤリサーチマーテック
  • 竹原あき子 和光大学
  • 竹本正 大阪大学
  • 田巻耐 新日本製鐵(株)
  • 醍醐市朗 東京大学
  • 月橋文孝 東京大学
  • 津田祥子 (社)未踏科学技術協会
  • 辻村太郎 鉄道総合研究所
  • 豊福俊英 関西大学
  • 友田 陽 茨城大学
  • 成田暢彦 (社)産業環境管理協会
  • 中村慎一郎 早稲田大学
  • 中島謙一 東北大学
  • 中野加都子 関西大学
  • 中野俊樹 防衛大学校
  • 奈良松範 諏訪東京理科大学
  • 内藤壽夫 内藤技術士事務所
  • 林佑二 長崎大学
  • 細田奈麻絵 (独)物質・材料研究機構
  • 本藤祐樹 横浜国立大学
  • 松野泰也 東京大学
  • 宮崎修行 国際基督教大学
  • 御園生誠 工学院大学
  • 御船直人 (財)鉄道総合技術研究所
  • 三輪實 岐阜大学
  • 水谷広 日本大学
  • 山口明 岩手大学
  • 山田勝利 物質・材料研究機構
  • 八木晃一 (独)物質・材料研究機構
  • 横山一代 東北大学大学院
  • 吉松史朗 (株)コベルコ科研
  • 米田征司 神奈川大学

以上84名(2005年2月28日現在)