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提言 ~ 第五弾「都市鉱山をアジアに!」

        国際資源循環の推進について

提言

 我が国の産業を支える特殊金属資源の安定供給戦略の一環として、アジア・環太平洋圏を中心とした国際二次資源循環の推進策の実施を要望しま す。

(背景と理由)
つい数年前の希土類問題に典型的に現れているように、我が国の産業を支える特殊金属資源に対して、その安定確保はいまだに脆弱です。この特殊金属 資源の確保には産出国に依存する一次資源とともに、我が国などに蓄積している二次資源(都市鉱山)を積極的に利用していく必要があります。これま では、二次資源は国内に蓄積されているケースが多く、国内的なリサイクル政策だけでもある程度の対応ができたのですが、使用済み製品の海外流出 や、大量の工場屑源であった生産工場の国外展開などで、二次資源の確保までもが困難になってくる状況になっています。また、こうして流出していっ た二次資源はリサイクル体制の整わないアジア圏などの発展途上国で廃棄物問題を引き起こしており、それにかかわる製造者としての我が国の責任が問 われかねない状態になっています。
 このような状況に対し、我が国の循環型社会形成の高い技術と政策の水準を生かして、アジア圏に環境効率に優れた国際資源循環の形成を、我が国の 主導で積極的に展開する施策を実施することを要望します。
 これは、発展途上のアジア圏の環境の向上に、我が国の循環型社会形成の経験を伝え、アジアの国々の環境改善に貢献するとともに、それを通じた物 流やそれに伴うエネルギー利用の健全化による広域での地球温暖化ガスの削減にも貢献し、同時に、我が国に不可欠な特殊金属資源の供給を二次資源の 面から強化するものです。

(推進策の内容)
推進すべき施策の基本は以下の四施策です。
1.我が国の主導による質の高い国際的リユースの推進
2.我が国静脈産業の高い分別・選別技術の国際普及の推進
3.国外展開企業の産業廃棄物の国内還元ルートの確立
4.レアメタル二次資源の高度利用技術の国際拠点化
さらに、これらの施策と合わせて、資源効率・環境効率の高い国際的な二次資源循環の枠組みを我が国のリーダーシップで構築していくことを要望いた します。

(施策の概略)
1.    我が国の主導による質の高い国際的リユースの推進
( ブランド・リユース)
使用済み製品が中古品として海外に流出したうえにE-waste(電子機器廃棄物)などとして環境問題までも引き起こしている状態に対して、その 需要源となっている国際中古品市場に、日本製品ブランドによる高信頼性のリユース業を参入させ、生活レベルの向上に見合うリユース品市場の構築 と、トレーサビリティのある物流管理を実現させる。
1-1    リユース事業振興補助金などリユース事業の促進
1-2    国際リユース事業者認定制度などブランド化を保証できる制度の導入
1-3 製造者責任に相当するディーラー責任の明確化できる法整備

2.    我が国静脈産業の高い分別・選別技術の国際普及の推進
                   (アーバン・ベネフィシェーション)
アジア圏で行われている「全部雑多煮型」リサイクルに対して、我が国の洗練した分別技術を導入し資源効率、環境効率の高いリサイクルによる健全な 静脈産業の育成に貢献する。そのために、技術のみでなく、機器や技術の供与ビジネス、資源生産性向上コンサルタントなど、静脈産業のトータルソ リューション・ビジネスの参入を促進する。
2-1 政府間での静脈産業育成協力に関する連携の推進
2-2 分別・選別業のアジア進出のためのサポート制度(財政面、情報面)
2-3 国際的機器リース・レンタル業、循環型社会コンサルタント業の育成による多様な参入の支援

3.    国外展開企業の産業廃棄物の国内還元ルートの確立
                           (フォロー・リサイクル)
国外展開する製造業の工場発生物をフォローし国内還元ルートを確立することで、高品質の二次原料のサプライチェーンを確保すると同時に、地元での 「全部雑多煮型」リサイクルへの流出による環境への拡散の防止に貢献する。
3-1 電子基板などリサイクル原料の規格化とそれによるバーゼル条約対応の緩和
3-2 ODA関係優待などによる製造業者の海外移転における静脈産業とのパッケージの推進
3-3 政府間協力による地場リサイクル業との連携推進制度

4.    レアメタル二次資源の高度利用技術の国際拠点化
                        (ファインケミカル・リサイクル)
希少金属二次資源をハイテク製品のモノづくりに必要とされる高度精製化学物質に高める技術を発展させ、海外での鋳塊レベルの再生技術と付加価値面 で区別化を図ることにより、二次資源の国内還流を促進させかつその国際還流の拠点とする。
4-1 ハイテク用高付加価値原料精錬に焦点を合わせた研究開発予算の拡充
4-2 ハイテク用高付加価値原料含有物に対するバーゼル条約運用の緩和
4-3 製錬工程に管理された希少金属に対する国内備蓄量としての取り扱いと補助
4-4 二次資源流通情報の整備


なお、現在、原油価格につられて金属資源価格も低下してきておりますが、まさにこのタイミングこそ、資源戦略を展開できるチャンスであります。
またアジア各国も、バーゼル条約制定時のような廃棄物投棄の受け皿から自国で電子廃棄物が発生する状況に変わってきており、それに合った資源効 率、環境効率の高い二次資源の国際循環の枠組みづくりを、循環型社会形成の先導者である我が国がリーダーシップをもって進めることが求められてい ます。

説明図

未踏科学技術協会