エコマテリアルのトピックス

「エコマテリアル」とひとことで言っても、その研究対象は、金属、動植物、社会システム・・・と多岐にわたります。

当フォーラムは各分野で活躍している会員の皆様が、分野を越えた横断的な情報交換や交流ができることをめざしています。

その試みの一環として、トピックスのページでは、「エコマテリアル」に関連する最新情報や興味深い話題を、各方面のスペシャリストがお知らせします。

みなさまからの話題提供も募集していますので、とっておきの話題、情報がありましたら、ぜひ、ご寄稿下さい。

「バイオマス資源・オイルパーム」

パーム油産出に関わるバイオマス資源の実態に迫ります
 オイルパームをご存知でしょうか?これはパーム油を産出するヤシ科の植物で,日本では洗剤の原料として有名ですが,世界的には食用として広く供されています。 その栽培はマレーシアやインドネシアなど熱帯諸国において大々的なプランテーションにより行なわれており,世界合計の生産量は年間3,300万トン,植物油脂全体のおよそ30%を占めています。 このようにオイルパームは食用油の供給や産出国の経済を支える大変有用な植物ですが,その一方で,油を搾る際に発生する木質の果房,幹,茎などは貴重な木質バイオマス資源にも拘らず,ほとんどが未利用のまま焼却または廃棄されているのが現状です。 その量,年間で推定1億トン以上に達します(乾燥重量)。何という資源の損失でしょう! 私たちは,こうした未利用資源を『エコマテリアル』として有効に利用するための技術開発研究を,マレーシアなどパーム油産出国の研究機関や大学と共同で日夜進めています。

〔文責〕田中良平  (独)森林総合研究所 成分利用研究領域セルロース利用研究室

〔参考文献〕
森と木の先端技術情報(APAST),15, pp52~55 (2005)
Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ), 38, pp275~279 (2004)
熱帯林業,55, pp44~51 (2002)

「微生物ポリエステルの高強度化」

これまで微生物ポリエステルの欠点であった硬くて脆いという問題を解決する技術が開発されました
 微生物によって糖や植物油などから生合成されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、環境中で微生物によって完全に分解される環境にやさしい材料の一つとして注目されています。 代表的なPHAであるポリ[(R)-3-ヒドロキシブタン酸]は他の熱可塑性ポリマーと同じように成型加工が可能ですが、硬くて脆いという物性のために、これまで単独での実用化は困難とされてきました。 しかし最近、溶融押出ししたP(3HB)を、冷延伸法、二段階延伸法および微結晶核延伸法で処理することで超高強度繊維を作製する技術が開発されました。 この技術によって、分子量500~2000万の超高分子量P(3HB)から破壊強度1.3GPa、破壊伸び35%、ヤング率18.1GPaの繊維が作製され、野生株産P(3HB)からも破壊強度650MPaの高強度繊維の作製に成功しています。 さらに、この技術は高強度フィルムの作製に応用されるとともに、様々な共重合体にも適用できることが明らかとなってきました。
〔文責〕山下宏一  理化学研究所 中央研究所 化学分析チーム

〔参考文献〕
特願2004-29044.
Macromol. Sym., 224, 11 (2005).
Macromol. Biosci., 5, 840 (2005).
Macromol. Rapid. Commun., 25, 1100 (2004).
Polym. Degrad. Stab., 79, 209-216 (2003).
Polym. Degrad. Stab., 79, 217-224 (2003)

「ネイチャーテック研究会発足」

自然の知恵に学び、環境に負荷をかけない新技術を追究するグループが発足しました
外気温が一日で0℃から50℃まで変化するサバンナで常に内部を30℃に保つ「エアコン完備」のシロアリ塚。鉄の1/6の軽さで「鉄より強い」クモの糸。 天井を走り回る「瞬間脱着自在」のヤモリの足。自然や生物のすごさを学び、応用することで、環境に負荷をかけない技術を生み出せないか? 46億年の知恵の結晶を人間のテクノロジーでリ・デザインし、新しいモノつくりと暮らしの形を提案する「ネイチャーテック研究会」が9月16日、発足しました。
発足を記念して行われた第1回講演会(物質・材料研究機構)では、主宰者の石田秀輝・東北大学大学院教授ら8名の講演が行われました。 石田教授は、人間の欲望を肯定しながら、豊かな暮らしと持続可能な社会を両立するために「自然のすごさを賢く学ぶ」ことを提唱。 物質・材料研究機構の田中順三・生体材料研究センター長ら招待講演者からは、自然に学んだ環境調和型技術の実例が示され、参加者と活発な討論が交わされました。
また、研究会は今後、最初の活動として「自然のすごさ」を集めたデータベース作りに着手することを発表しました。 データベースは来年Web上での公開を目指しており、異分野の研究者のネットワーク作りにも役立つものになりそうです。
次回の研究会は12月、仙台で予定されています。1997年アメリカで出版され大きな話題となった「Biomimicry」の著者 ジャニン・ベニュス女史、ゼロエミッションの提唱者グンタ・パウリ氏が来日します。エコマテリアルフォーラム Nature Inspired Materials ワーキンググループもネイチャーテック研究会に協力しています。
〔文責〕垣澤英樹  物質・材料研究機構 エコマテリアル研究センター

〔参考文献〕
読売新聞による紹介記事(PDFファイル)

「17年度3R推進月間」

経産省が10月の「3R推進月間」での活動内容を発表しました。
興味深いシンポジウムや研究会も各地で行われるようです。

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