エコマテリアルのトピックス

「エコマテリアル」とひとことで言っても、その研究対象は、金属、動植物、社会システム・・・と多岐にわたります。

当フォーラムは各分野で活躍している会員の皆様が、分野を越えた横断的な情報交換や交流ができることをめざしています。

その試みの一環として、トピックスのページでは、「エコマテリアル」に関連する最新情報や興味深い話題を、各方面のスペシャリストがお知らせします。

みなさまからの話題提供も募集していますので、とっておきの話題、情報がありましたら、ぜひ、ご寄稿下さい。

「貴金属使用量を大幅に減らした高性能燃料電池用電極」

安価で大量に存在する材料で市販電極の1.5倍の性能
 独立行政法人物質・材料研究機構エコマテリアル研究センターの森利之主席研究員と高橋基研究員は、ダイレクトメタノール型燃料電池のアノード材料(負極材料)として、Pt(白金)とCeO2(酸化セリウム)という金属とセラミックスの複合電極を開発しました。 市販のPtとRu(ルテニウム)の合金電極に比べて安価な材料で1.5倍の電流密度と市販の電極のオンセットポテンシアルを低下させる(電極反応損失を低下させる)優れた特性を達成しており、携帯機器用燃料電池の大幅な普及促進、家庭用コージェネレーションのさらなる発展につながるものと期待されています。
開発したアノード材料は高価で希少なRuをまったく用いず、環境にやさしく、かつ安価な高性能電極を提供することが可能です。 また、Ptの使用量も最大で34%程度削減できると期待されています。現在、さらなる高性能化を目指し、CeO2上に分散したPt粒子の微細化を進めています。
この成果は、今年11月30日からつくば市で開催される「第4回機能性発現のための材料創製に関する国際会議」や12月10日に都内日本大学で開催される「第16回日本マテリアルリサーチソサエティー学術シンポジウム」などで発表されます。
〔文責〕垣澤英樹  物質・材料研究機構 エコマテリアル研究センター

「バイオマス.誤解と希望」奥 彬 著:シリーズ“地球と人間の環境を考える”10巻、日本評論社(2005).

バイオマスや生分解性プラスチックに少しでも関心がある人や研究者技術者に読んでもらいたい本。
 バイオマスを環境資源問題や持続型社会の救世主のように思っていませんか? 研究者や産業やジャーナリストは、プラスチックの実がなりバイオマス燃料が搾れる植物があるかのように、この言葉を地球温暖化防止に結び付けてはいませんか? これまで有機資源には石油がおもに使われてきましたが、決して正しく使われてきたとはいえず、大量生産と廃棄のなかに利益と安易さを求めたので環境問題が生じています。 この癖はバイオマスで改まったのでしょうか? かえって再生可能資源やグリーン、カーボンニュートラルなどの言葉を用いて、バイオマス材料は大量に作っても安易に廃棄しても地球にやさしそうだと誤解させていませんか? 資源の差を問わず産業品の製造にはエネルギーと有限な金属資源等の消費が必ず伴うことを忘れてはいませんか?植物は再生可能でも原料と産業品はちがうでしょう。 技術と経済と便益を至上とする考えがバイオマスの大切さを損ねないように、これを研究し技術開発する人の理念と倫理とは何かを本書は考えさせてくれるでしょう。

〔文責〕奥 彬  (財)生産開発科学研究所

「産業廃棄物の循環型処理技術の調査」ワークショップ開催報告

「産業廃棄物の処理技術」をテーマにしたワークショップが開催されました
 エコマテリアル・フォーラムでは、社会的重要度の高いテーマをとりあげ、ワーキンググループを設け、調査研究活動を行っております。 このたび、「産業廃棄物」の中で、特に「建築廃材」、「古紙」等の処理方法の調査を行う目的で、第1回のワークショップを日時:平成17年10月6日(木),芝浦工大工学部(東京都港区芝浦3-9-14)で開催しました。  グループ代表の千葉工業大学小野修二郎教授による挨拶で始まり、「産業廃棄物、特に建築廃材の循環型処理技術の調査」ワーキングの取り組みについて、ワーキンググループリーダーの青森県工業総合研究センター岡部敏弘氏より紹介がありました。  つづいて、芝浦工業大学工学部村上雅人教授による超伝導技術を使った「地球環境保護と先端技術」、(株)ダイナックス 材料開発グループ向 一仁氏によるオートマチック車の「湿式摩擦材の廃棄処理の取り組みについて」、(株)リガク 熱分析グループ 有井 忠氏による木材、リンゴ絞りかす、鶏糞ウッドセラミックスなどの「産業廃棄物の熱分解ガスの分析」、ラサ工業(株)機械事業部坂田博志氏による建築廃材などの木材を中心とした「産業廃棄物の粉砕処理技術」、鶴見曹達(株) エコロジー事業部牧野 澄夫氏による木材などの「樹木根等の爆砕処理技術による利用方法について」、エァ.ウォーター.ベルパール(株)技術開発部吉永 直人氏による木材、鶏糞ウッドセラミックス、オカラセラミックスなどの「産業廃棄物の樹脂成型技術について」、日本油脂(株)化薬事業本部中地章氏による製材所の廃材を用いた「小型バイオマスガス化発電システムについて」の紹介がありました。  第1回ワーキングには、51名の参加者があり、活発な質問と意見が交わされました。
 当グループは、ひきつづき、第2回ワークショップを、平成17年12月9日(金)に、第3回を平成18年2月17日(金)に開催します。産業廃棄物の処理技術にご関心のある方は、ぜひワーキンググループの活動にご参加下さい。
プログラムの詳細はこちらをご覧下さい ↓
 http://ecomaterial.org/wg_ws_sy/ws/ws051006.html
※次回(17年12月9日)ワークショップ案内 ↓
 http://ecomaterial.org/wg_ws_sy/ws/ws051209.html
〔文責〕岡部敏弘  青森県工業総合研究センター

「硫黄化合物系エミッションの無害・資源化とゴミメタルからの鉄銅回収」

廃棄物からの有価資源生成のための基礎およびプロセス研究を行っています。
岩手大学工学部材料物性工学科 飯島・山口(勉)研究室のご紹介

 私ども研究室では現在エコマテリアル研究テーマとして、硫黄化合物系エミッションの無害・資源化およびゴミメタルからの鉄銅回収に取り組んでいます。
金属資源の鉱石の多くは硫化鉱であるため、これらを取り出した後には不可避的に硫黄化合物系のエミッションが発生します。 熱力学シミュレーションと電気炉を用いた小型試験を行い、廃プラスチックを還元剤として、硫化物を還元し元素硫黄を生成し無害化するプロセスを研究しています。
 一方、一般廃棄物の溶融処理により発生する合金は主に鉄と銅より構成されます。 これらを分離することで資源化が可能ですが、熱力学的性質の制約から分離プロセスの構築が困難なのが現状です。 そこで、相平衡の測定などを通して有効なプロセスの提案を行っていきます。
研究室スタッフ
飯島 嘉明 教授
山口 勉功 助教授
植田 滋   助手

岩手大学 工学部 材料物性工学科 のホームページ

「バイオマス資源・オイルパーム」

パーム油産出に関わるバイオマス資源の実態に迫ります
 オイルパームをご存知でしょうか?これはパーム油を産出するヤシ科の植物で,日本では洗剤の原料として有名ですが,世界的には食用として広く供されています。 その栽培はマレーシアやインドネシアなど熱帯諸国において大々的なプランテーションにより行なわれており,世界合計の生産量は年間3,300万トン,植物油脂全体のおよそ30%を占めています。 このようにオイルパームは食用油の供給や産出国の経済を支える大変有用な植物ですが,その一方で,油を搾る際に発生する木質の果房,幹,茎などは貴重な木質バイオマス資源にも拘らず,ほとんどが未利用のまま焼却または廃棄されているのが現状です。 その量,年間で推定1億トン以上に達します(乾燥重量)。何という資源の損失でしょう! 私たちは,こうした未利用資源を『エコマテリアル』として有効に利用するための技術開発研究を,マレーシアなどパーム油産出国の研究機関や大学と共同で日夜進めています。

〔文責〕田中良平  (独)森林総合研究所 成分利用研究領域セルロース利用研究室

〔参考文献〕
森と木の先端技術情報(APAST),15, pp52~55 (2005)
Japan Agricultural Research Quarterly (JARQ), 38, pp275~279 (2004)
熱帯林業,55, pp44~51 (2002)

「微生物ポリエステルの高強度化」

これまで微生物ポリエステルの欠点であった硬くて脆いという問題を解決する技術が開発されました
 微生物によって糖や植物油などから生合成されるポリヒドロキシアルカン酸(PHA)は、環境中で微生物によって完全に分解される環境にやさしい材料の一つとして注目されています。 代表的なPHAであるポリ[(R)-3-ヒドロキシブタン酸]は他の熱可塑性ポリマーと同じように成型加工が可能ですが、硬くて脆いという物性のために、これまで単独での実用化は困難とされてきました。 しかし最近、溶融押出ししたP(3HB)を、冷延伸法、二段階延伸法および微結晶核延伸法で処理することで超高強度繊維を作製する技術が開発されました。 この技術によって、分子量500~2000万の超高分子量P(3HB)から破壊強度1.3GPa、破壊伸び35%、ヤング率18.1GPaの繊維が作製され、野生株産P(3HB)からも破壊強度650MPaの高強度繊維の作製に成功しています。 さらに、この技術は高強度フィルムの作製に応用されるとともに、様々な共重合体にも適用できることが明らかとなってきました。
〔文責〕山下宏一  理化学研究所 中央研究所 化学分析チーム

〔参考文献〕
特願2004-29044.
Macromol. Sym., 224, 11 (2005).
Macromol. Biosci., 5, 840 (2005).
Macromol. Rapid. Commun., 25, 1100 (2004).
Polym. Degrad. Stab., 79, 209-216 (2003).
Polym. Degrad. Stab., 79, 217-224 (2003)

「ネイチャーテック研究会発足」

自然の知恵に学び、環境に負荷をかけない新技術を追究するグループが発足しました
外気温が一日で0℃から50℃まで変化するサバンナで常に内部を30℃に保つ「エアコン完備」のシロアリ塚。鉄の1/6の軽さで「鉄より強い」クモの糸。 天井を走り回る「瞬間脱着自在」のヤモリの足。自然や生物のすごさを学び、応用することで、環境に負荷をかけない技術を生み出せないか? 46億年の知恵の結晶を人間のテクノロジーでリ・デザインし、新しいモノつくりと暮らしの形を提案する「ネイチャーテック研究会」が9月16日、発足しました。
発足を記念して行われた第1回講演会(物質・材料研究機構)では、主宰者の石田秀輝・東北大学大学院教授ら8名の講演が行われました。 石田教授は、人間の欲望を肯定しながら、豊かな暮らしと持続可能な社会を両立するために「自然のすごさを賢く学ぶ」ことを提唱。 物質・材料研究機構の田中順三・生体材料研究センター長ら招待講演者からは、自然に学んだ環境調和型技術の実例が示され、参加者と活発な討論が交わされました。
また、研究会は今後、最初の活動として「自然のすごさ」を集めたデータベース作りに着手することを発表しました。 データベースは来年Web上での公開を目指しており、異分野の研究者のネットワーク作りにも役立つものになりそうです。
次回の研究会は12月、仙台で予定されています。1997年アメリカで出版され大きな話題となった「Biomimicry」の著者 ジャニン・ベニュス女史、ゼロエミッションの提唱者グンタ・パウリ氏が来日します。エコマテリアルフォーラム Nature Inspired Materials ワーキンググループもネイチャーテック研究会に協力しています。
〔文責〕垣澤英樹  物質・材料研究機構 エコマテリアル研究センター

〔参考文献〕
読売新聞による紹介記事(PDFファイル)

「17年度3R推進月間」

経産省が10月の「3R推進月間」での活動内容を発表しました。
興味深いシンポジウムや研究会も各地で行われるようです。

< 1 2 3 4 5